死海周辺の伏流水の採集調査
死海はイスラエルとヨルダンに接する湖で、塩分濃度が非常に高く、地球の表面で最も低い場所として知られています。年々低くなっている湖面は、50年間で約30メートル低下し、表面積はこの100年間に3分の1近くも縮小しました。近年、そのペースが加速していて、1年で平均 1.2 メートルずつ低下しています。死海から流れ出る川はないが砂漠に位置するため、流入する水の量よりも蒸発する水の量のほうが多く、死海の流水量の減少は湖水準に敏感に影響を与えます。以前には毎年13億立方メートルもあったヨルダン川からの流入淡水量は、イスラエル、シリア、ヨルダンでの飲料水や農業用水として利用の増加で、現在は1億立方メートル未満まで減少しています。死海が縮小すると湖底が露出し、塩分濃度が高い土地では植物は成長することができない。かつては死海の湖岸に沿って伏流水の放出がありヤシの木などが生い茂るオアシスが分布していたが、現在の湧出口が低い土地に移動し湖岸の泥の中にある。2019年3月1日から5日までの5日間、名古屋大学宇宙地球環境研究所およびイスラエルヘブライ大学の共同研究グループは、死海およびティベリウス湖(Sea of Galilee)の周辺の伏流水の調査を行いました。
名古屋大学宇宙地球環境所 北川浩之・南雅代
ヘブライ大学 Moti Stein・Boaz Laser・Nurit Webe (PhDコース)・Dalal Said(PhDコース)